有馬総一郎のブログ

(彼氏の事情)

2023年05月27日 09:49:07 JST - 10 minute read - Linux

open.Yellow.osを実機にインストール。Debian + FlatpakなOS

リリースされて一ヶ月近く経って今更だけど open.Yellow.osをインストールして、一ヶ月近く使ってみたの感想を述べたいと思う。ざっくりとした感想としてはタイトルどおり Debian + FlatpakなOSだと感じた。何故、そう感じたのか、使ってみたことをずらずら書き連ねたいと思う。

私はここ最近は、 Pop!_OSをインストールしたデスクトップをメイン機として使っているので、毎日、昼休みなどの合間にしか使ってない。また、今まで使ったことのあるディストリビューションは、Ubuntu(Debian)系、Arch Linux系1だけなので、基本、素人の戯言と思って欲しい。

open.Yellow.os

インストール端末

インストールしてみたのは実機 AeroBook Plus2。そこまで古い端末ではないので、何事もなく終了。元々 AlterLinuxを入れていたが、作成者が学生業に忙しい(落ち着いたのか、近々アップデートの予定があるっぽい)のと、Arch Linux系はアップデートが頻繁で、ある時からログイン後、端末からログインしなければならなくなったので、ちょっと止めたくなった。

open.Yellow.os
open.Yellow.os

日本語入力環境について

日本語入力環境が最初から整っているというのはメリット。しかもGNOMEデスクトップで、というのは唯一だと思う。通常GNOMEデスクトップ環境はibusがデフォルトなので。

ただ、やはりGNOMEでfcixt5というのは、逆にネックともなりえて、自分の場合、skkに切り替えようとしたところ、システム設定からはibusでの設定が表示されて、一瞬?となった。しかも、やり方が悪いのか、fcitx5のままでfcitx-skkにIMEの切り替えが出来ない。また、GNOMEデスクトップ検索では、fcitx5のままでは日本語入力が出来ないので、やはりibusを使うことにした。

open.Yellow.os

当初im-congigで切り替えたが、 ~/.xinputrc は変更されたものの ~/.xprofile の中身がそのままで、たまにfcitx5で起動されたりしたので、ばっさりfcitx5は削除した。

正直、あまり ibusfcixtの違いがよく分かってなく、かつてibusが1.5になったとき、ibusにすると、キーボード配列まで日本語になる、同時キー入力の認識が微妙3など、悪いイメージがついてまわっていた。

それから数年経ち、慣れてしまったのと、IMEをibus-skkで使っているから、とりたてfcixt5でなけば嫌だというのはない。ibusだとSUPER+SPACEでないとIMEの切り替えが出来ないのが嫌だけれども、それはショーカットーキーの変更すれば済む話だ。

やはり、fcitx5に拘るのであれば、デスクトップ環境をメモリ使用量がより少ない KDEにするか、GNOMEに拘るであればibusにしておくべきだった気がする。

パッケージリポジトリについて

ベースとなっている Debianについては、よく「安定性と信頼性に重点を置いたディストリビューション」と言われる。今だにその意味をちゃんと理解していないが、同じく、 Debianベースとなっている LMDEをインストールしたときに感じたことだが、パッケージの更新が少ないという点において、一度、環境を作ってしまえば、長期的に使用しやすいディストリビューションだと思われる。

GNOMEソフトウェア

Arch Linuxは、恐しい程の勢いで毎日パッケージの更新が何百MB、何GB単位で降ってくる。当然、機能・設定の変更などで、メンテしていく必要がある。常に新しいものを求める人にはピッタリだけれども、そうでない人にはsudo pacman -Syuuやらyay -Syuuはドキドキというか苦痛となる。

Ubuntuは、 Arch Linuxほどでもないし、環境が破壊されるなんてことは少ないが、それなりの頻度、量で更新は降りてくるし、 PPAの追加によって、独自または最新のパッケージをインストールすることは出来るようになっている。

しかし、 Debianではadd-apt-repositoryをインストールしても、抑止されたり、上手く行かなったりする。寧ろ、/etc/apt/sources.listに追記していくイメージがある。上級者向けでもあるし、逆に初心者ならやろうとしない。

独自リポジトリの追加は、最初は特に問題がないだろうが、OSのアップグレードや、リポジトリが廃止されたりして、突然、パッケージの依存関係が壊れたりする。なので、ほいほい、リポジトリを追加すると、安定性は下がるのは間違いない。

なので、基本公式リポジトリからaptコマンドでインストールしたパッケージを使い続けば、 Arch LinuxUbuntuに比べて長期的に安定して使い続けられる、という意味で安定性と信頼性があるのかも知れない。

Flatpak

とはいえ、デフォルトでインストールされているfirefox-esr Firefox 延長サポート版の例にもれず、「あ、あのアプリ、最新ではこんな機能使えるんだって!」「今度、こんなアプリが出たらしいよ、使ってみよう」という時に、リポジトリにない、ということがある。というか、しょっちゅうある。

Firefox 延長サポート版

そこで、 Flatpakが初めから用意してあるのは、凄く良いアイデアだと思う。寡聞にして知らないが、 DebianベースでflatpakがインストールされているOSを私は知らない。 Ubuntusnap推しでいつのバージョンからか未インストールになる(なった)はず。

Pop!_OSflatpakインストール済であるけれども、リポジトリはDebianベースではなかったし、デスクトップ環境は Cosmicというi3wmをよりリッチにした感じで、WindowsやMacユーザとは操作感がかなり異なる。

話がズレたが、flatpakは必要なパッケージ群をセットで隔離された場所、サンドボックスにインストールする。パッケージの依存関係に悩むことなく、壊されたり、汚される心配がない。

しかも、サンドボックス化して実行されるためセキュリティも高い。しかも、クロスプラットフォームであるので、flatpakリポジトリに用意されていれば最新パッケージをインストールして使える。特定のバージョンが使いたい場合などもダウングレード出来る。

そして、落して叩くだけのAppImageと比べると実行までの手間があるが、アプリケーションランチャーなどの検索に引っ掛るようにするには.desktopデスクトップファイルの作成しなければならないし、アップデートは、また配布場所からダウンロードしてくる必要があったりと、継続利用には手間がかかる4

snapは、過去、日本語対応されてないパッケージをインストールさせられた苦い思い出があり、どうも好意的に見れない。インストールも遅く、実行までもflatpakよりも遅いイメージがある。

また、flatpakはARM系端末でAppImageで動かなかったJoplinnvimが動いたという意味でも、他のディストロ非依存パッケージの中でも特に優れているように見える。

GNOMEソフトウェア
最新バージョンのnvimがインストール可能

安定して使い続けたい、でも、このアプリは最新を使いたい!というユーザの相反するわがままをかなえてくれる意味で、素晴しい解決案だと思う。

とはいえ、問題点がないわけでもなく、当然、snapAppImageにしかパッケージというのも存在してたりする。

また殆どは、flatpakなのか、aptでインストールしたパッケージなのか気にすることなく使えるが、たまにflatpakだと自動起動されなかったり5、Google Chromeではショートカットの作成などが出来ず、 Flatsealが必要だったたりする6

open.Yellow.os

他にも通常とは違ったところに設定ファイルが置かれたりするので、何かあったとき、通常のパッケージの対応と異なる可能性がある。他、細かいこととしては、やはり若干、インストールするパッケージのファイルサイズは大きくなるし、殆どは体感出来ないレベルだろうが、オーバーヘッドも大きくなるかも知れない。

感想

良いところ

  • 日本語入力環境が整っている
  • 安定の Debianリポジトリ
  • 上記を補完するflatpakがインストール済
  • パッケージ管理ツールがflatpakをサポートする7 GNOMEソフトウェア

改善したほうがよいかも知れないところ(自分の操作ミスが原因の可能性あり)

  • 日本語入力環境が不安定に思える

    mozc以外のIMEを追加するとき、上手く行かなかったり。そもそもGNOMEデスクトップと相性が良くない。

  • タッチパッドをナチュラルスクロールにしてもならない

    open.Yellow.osの問題というより、GNOMEデスクトップのバグかも。確認してない

  • これという特徴がない。上級者であれば、 open.Yellow.osと同じ環境は割と簡単に整えられる。

    「open.Yellow.os」公認サイト - 特徴でいくつかの機能追加を予定としてるので、今後にも期待といったところ

なのでDebian+FlatpakなOSな感じ、との印象を持った。これという欠点はないかわりに、これという特徴もないのが、現時点2023年5月27日時点の感想だ。

上の予定にないものとして、個人的にお願いしたのは、独自のアイコン、テーマの導入も検討してほしい。所詮、ガワだけど、それが変わるだけでも大分、気持ちは変わる。

また、flatpakインストール済であるなら、wine環境をお手軽に構築できる Bottlesをインストールしておいて、日本語フォントインストール、文字化け対応のレジストリをあてたBottles環境を準備してもらえたりすると、嬉しいかなぁ。firefoxはやはり最新版を入れてほしい。

そして、今は初心者はインストールをお控え下さいというスタンスだろうけど、ゆくゆくはWindowsやMacユーザが、Ubuntu日本語Remixより移行しやすいOSを目指してほしい。

open.Yellow.os

最後に、上記は無視してもらって構わないので、これだけをやってほしい、というのがある。是非、長期的に続けて欲しい。日本発のディストリビューションは単発的というか、打ち上げ花火みたいに一度リリースしてほったらかしのようなイメージがある8。日本独自のディストリビューションを開発しつづけてもらいたい。


  1. 具体的にはUbuntu、Debian、Pop!_OS、Arch Linux、Alter Linux、Manjaro、MX Linux、LMDE。インストールしてまともに使ったことがあるのはここら辺。 ↩︎

  2. 通常、そのままではインストール出来ないので、 CHUWI AeroBook Plusでも簡単にLinuxがインストールできるようになったを参考。パッと見のスペックよりは、使ってみると割と貧弱ではある。 ↩︎

  3. 本の虫: iBus 1.5がクソすぎる。なんど読み返しても笑ってしまう。 ↩︎

  4. Releases · TheAssassin/AppImageLauncherといったAppImageを便利に使うためのアプリもあったりするが、完全でなかったりする。 ↩︎

  5. Autostart of the flatpak desktop client does not work - 📱 Desktop & mobile clients - Nextcloud communityみたいな。 ↩︎

  6. Create shortcuts not working even with extra permissions · Issue #91 · flathub/com.google.Chrome · GitHub ↩︎

  7. KDEのパッケージ管理ツールDiscoverでもflatpaksnapはサポートされるみたい。 Flatpak support in Discover – Adventures in Linux and KDE。Ubuntuソフトウェアはsnapだけ。 ↩︎

  8. 実際は違うのかも知れないが、愛好家がいるディストリビューションというのは Kona Linuxぐらいしか聞かない。 ↩︎